大川・中之島の橋梁群

 

名称大川・中之島の橋梁群
よみがなおおかわ・なかのしまのきょうりょうぐん
都道府県1大阪府
市区町村1大阪市北区・中央区
都道府県2 
市区町村2 
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緯度・経度 34.692684,135.507140
路線名称等桜宮橋:国道・1号/旧淀川、天満橋:府道・大阪和泉泉南線(谷町筋)/大川(旧淀川)、天神橋:市道・天神橋天王寺線(松屋町筋)/大川(旧淀川)/中之島公園、大江橋・淀屋橋:国道25号
種別橋(道路用)
形式桜宮橋:鋼ソリッドリブアーチ(3ヒンジ,下路)、天満橋:ゲルバー式鋼桁橋、天神橋:鋼ソリッドリブアーチ(2ヒンジ,バランスト,上路)、大江橋:4径間鉄筋コンクリートアーチ橋、淀屋橋:3径間鉄筋コンクリートアーチ橋
諸元(規模等)桜宮橋:L188.85m,S104.0m(g+A+4g)、天満橋:L151.0m 幅員19.0m、天神橋:L210.7m 幅員22.0m、大江橋:L81.5m 幅員36.5m、淀屋橋:L53.5m 幅員36.5m
材料・構造等桜宮橋・天神橋:鋼アーチ、天満橋:鋼PG、大江橋・淀屋橋:RCアーチ
着工年(西暦)桜宮橋:1928
着工年(和暦)桜宮橋:昭和3年5月
完成年(西暦)桜宮橋:1930、天満橋・大江橋・淀屋橋:1935、天神橋:1934
完成年(和暦)桜宮橋:昭和5年9月末、天満橋・大江橋・淀屋橋:昭和10年、天神橋:昭和9年5月
文化財指定等選奨土木遺産(H12年[2000]大川・中之島の橋梁群)
選奨土木遺産認定2000
備考桜宮橋は、アーチ橋の中央にもヒンジがある3ヒンジアーチという型式で、橋脚が多少沈んだり移動したりしても、アーチに無理な力がかからない利点をもち、架橋地点の地盤が悪いことに配慮されて採用された。天満橋は、高架橋を設けるにしても基礎の位置や荷重に制限があったことから高架橋が選ばれ、在来の天満橋の上に重ねる型式とし、旧市電の軌道敷部の荷重と高架橋のそれとを置き換えられるように考えられた。設計上は在来橋の橋脚をそのまま用いることと、下の天満橋との景観上の調和を保つことが条件となった。この結果、構造形としては、鋼床版を用いた二室一箱形の断面をもち、鋼桁と鋼橋脚を剛結した立体ラーメン構造が採用された。天神橋については当初、コンクリートのアーチ橋で設計されていたようで現在もその設計図の一部が残っている。しかし、大阪市の地盤は悪く、長径間のコンクリート橋はどうしても不安が残るため、着工間近になって、鋼製アーチに変更され、現在見られる三連の鋼二ヒンジアーチとなっている。大江橋、淀屋橋の設計にあたっては、橋梁設計の分野ではめずらしいデザインの一般公募が行われた。これまでの橋梁設計は橋梁技術者が担当していたため、どうしても構造中心の設計になっていた。この傾向は橋のデザインの画一化を引き起こす可能性があったため、その防御策として、素人のよるデザイン募集という形になったようである。なお、公募内容は以下のようであった。二橋とも幅員二十間(36.4メートル)とし、橋長は淀屋橋が三十間(54.5メートル)、大江橋が四十五間(81.8メートル)、主構造は鉄骨鉄筋コンクリートアーチとする。二橋は同一の形式とし、付近の建築物および背景と調和し、両橋間の道路意匠もあわせて設計することを条件としている。応募総数62通の中から選ばれた作品は、大谷龍雄さんの「龍=南欧中世紀風」というデザインで、原案には橋脚の上に橋頭堡とも言うべき、石造りの塔が描かれており、賞金千円を獲得した。しかし、実施の設計では、この塔に代わってバルコニーを設けるよう修正されている。なお、淀屋橋は、明治18年の大洪水からの再建において、鉄製杭橋脚になったが、その時の形式は、パイルベント方式で、スクリューパイルというものが用いられた。スクリューパイルは、現在ではもう見られないが、先端にらせん状の歯がついた鋳鉄製または、錬鉄製の杭で、地中に埋め込むには、四方から水平方向に腕木を取り付け、人力で回転させることによってねじ込んでいったものである。大正10年に始まった第一次都市計画事業は現在の大阪の基礎を造った。中でも御堂筋の建設はその根幹をなすものであった。
桜宮橋は戦後、管理が建設省(現・国土交通省)に引き継がれ、今日に至っている。国道1号の重交通を支えて50年が経過し、下部工の変位が進行し、支間が約35センチ拡がり、両岸橋脚で10数センチの不等沈下が生じた。このため、建設省(現・国土交通省)により、下部工の基礎を中心として大規模な補強と床版の補修が行われた。天満橋は、昭和45二階橋併設1990年5月歩道部の改装が行われた(元の歩道幅=2.25m)。天神橋は、昭和62年(1987)、剣先側にらせん形のスロープが設けられると同時に美装化がなされ、遣唐使船の陶板ブロックや天満宮所蔵の天神祭絵巻を模写した絵陶板が飾られている(橋面改装工事)。大江橋は、時代の経過によってバルコニー部分の照明灯も付かなくなっていたが、近年旧に復された。御堂筋の美装化の一環として、橋上に植桝などが設置され、美装化が図られた。
国土交通省では桜宮橋の上流に、同様の意匠の橋を新たに架ける工事を進めた。新しさばかりを追い求めることなく、伝統との調和を重んじるその美意識は、高く評価すべきだろう
天満橋:三大鋼カンティレバー橋の一つ。天神橋:扁平アーチが3つ連続する軽快なデザイン/大規模な2ヒンジアーチ。大江橋:地下鉄御堂筋線のトンネルに荷重をかけないように工夫された基礎工/戦前では極めて珍しいデザインの一般公募の一等入選作/高欄のアーケード風開口部から連続する充腹部の縦縞/橋灯: 擬和風。淀屋橋:地下鉄御堂筋線のトンネルに荷重をかけないように工夫された基礎工/戦前では極めて珍しいデザインの一般公募の一等入選作/高欄のアーケード風開口部から連続する充腹部の縦縞/橋灯: 擬和風
参考資料(1)

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